Photo Story
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No.5 2004 late SUMMER | |
with 1986 Z31 300ZX (EXPORT MODEL) |
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私には憧れがある。 それは身震いするようなスピードに対する憧れ。 最初はスキーだった。激しくポールを突き伏せながら、どれだけ速いタイムで滑れるかが楽しかった。 その次がバイク。はじめて乗ったのが子供用のモトクロスバイクで、ダートを誰よりも速く走ることに夢中になった。 そして、今は180SX。 このクルマで峠やミニサーキットを走り回り、それなりに手ごたえも感じるようになってきた。 |
仲間内でもそう簡単には負けないようになってきたしね。 ただ、それ相応の傷みも激しくなってきて、このクルマの限界も見えてきたのだけど…。 |
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これ以上の速さを求めるなら、そろそろクルマを変えないとね。 そう思っていたとき、不思議なクルマに出会った。 形は180SXに似ているけど、もう20年近くも前のフェアレディZ。 太いタイアをはめて、いかにも「すごいぞオレは!」的な感じがするヤツ。 朝早く地元の峠を流してるとき、そいつが後ろに張り付いてきた。 |
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でも、まぁ、古いし重量級のクルマ、峠の走りには向かないでしょう?だけど、ちょっと面白そうかな? そう思って一旦、Zを先に行かせたら… |
もうぜんぜん追いつけない! 直線速いし、コーナーを3つも数えたら、視界に入らないくらいに離されてしまった。 おかしい?オカシイ?なんで? いろんなクエスチョンが私の頭をよぎっていく。 Zもいろいろチューニングをしているだろうけど、やはり旧いクルマ、180SXの方がまだ優位なところが多いはずなのに…。 |
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その後も同じ場所、同じ時間帯で、そのZに遭遇してはアッサリ追い抜かれることが続いた。 ただ、何回か見ているうち、いろいろ観察することはできた。 |
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ブレーキはホントにわずかしか使わないこと。 アクセルコントロールでクルマの向きを変えるクセがあること。 立ち上がり、ゼロカウンターで脱出の姿勢を作っていること。 そう、多分「Z」が速いんじゃなくって「Zとそのドライバー」が速いのだということがわかってきた。 |
―イイな…クルマとのそんな関係…と正直に思えた―。 |
私はスピードに憧れている。 そのためなら、別にクルマでなくったって構わないくらいに。 私と、あのZの彼とでは、クルマとの付き合い方が違うのだ。 それはそれでイイ。 でも、彼を少し羨ましく思えてくる自分がいる。 今度、あのZと出会うとき、また簡単に抜かれてしまうのだろうけれども、今ある私の全ての力で彼と彼のZを追いかけてみよう―。 |
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それと、私ももう少しこの180SXと付き合っていこう―。 そんな風に思えてきた自分が不思議で、そして新鮮でならない。 |
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- f i n - |
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MODEL:MAYUMI |
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